つゆり映え

- 妖怪の生態観察所 -
藤仁と琳也
「彼は知らない方がいい。……いえ、知らなくて良いのです。俺が、かつてどんな思いで彼を助けたのか。彼が憧れる絵師の優しさは、あまたの血と犠牲のうえに成り立っていることも……」
「藤仁。それは……」
「俺は……大事なものを手放すことでしか、大事にできない……。そういう臆病な人間なんです」