プライバシーポリシー
当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を使用しています。
Googleアナリティクスはデータの収集のためにCookieを利用しています。このデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。本機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。規約に関しての詳細はGoogleアナリティクスサービス利用規約のページやGoogleポリシーと規約ページをご覧ください。
雪希と初めて触れ合ったのはいつだったろうか。絵中に意識を沈ませたまま、紫苑はふと、そんなことを考えた。
──紫苑兄さんの手、おっきいね。
──そうか? 俺は生まれた時からこの大きさだからわからんが……。
──いいなぁ。ぼくも早く大きくなりたいなぁ。
ランドセルと言うらしい、彼の身体には大きすぎる荷物を椅子に放って、雪希は鏡合わせのように紫苑と手を重ねた。その時見た、彼の羨ましげな顔が忘れられない。
(そうだ、それから雪希が誕生日を迎えるたびに手を重ねたがったから……。初めて触れたのは七つの頃……)
あれから十数年が経ち、雪希が手を重ねたいとねだることはなくなった。精神が成熟した表れか、はたまた紫苑との触れ合いに意味を見出さなくなったのか。
(今年の雪希の誕生日に、俺から触れたいと言えば……あの子はどんな顔をするだろう……)
理由があれば触れられる。でももし、理由もなく触れたいと願ったら。
愛し子の未来を想像しながら、紫苑はふたたびまどろみに身をゆだねた。
畳む
#文披31題
#花の産土