プライバシーポリシー
当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を使用しています。
Googleアナリティクスはデータの収集のためにCookieを利用しています。このデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。本機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。規約に関しての詳細はGoogleアナリティクスサービス利用規約のページやGoogleポリシーと規約ページをご覧ください。
──もう一度、彼に逢いたい。
切望とも、悲痛とも取れる願いだった。
まっさらな紙上で墨が踊る。滴があとを追う。
ぽたり、ぽたり。何かをふちどるはずだった線がほどけていく。
──ごめん。ごめんな……。
声が濡れている。ふるえている。何度も何度も同じ音が落ちて、滴がしたたる。
色のない露が紙にとけていく。じわりとぬくもりが広がった。何かに抱きしめられているようだった。
それが怪画の──紫苑の最初の記憶。紫苑が生まれた意味。主の心を守る翡翠色の光。
主の深い哀しみは未だ消えることなく、今なお紫苑の中であざやかに瞬いている。
畳む
#文披31題
#花の産土