つゆり映え

- 妖怪が文字を並べてる自室 -
芦雪と松乃の自己犠牲/他者奉仕の違い

芦雪:「また誰かに捨てられたくない」という寂しさが根底にある
松乃:「自分は幸せになってはいけない」という自罰が根底にある

#天涯秘隣
藤芦の良いところはですね~~~出会って同じ時を重ねて価値観が少しずつ変わっていくところです
藤仁は芦雪に出会う前は「過去」に希望を見出し縋ってましたが、出会って以降は芦雪とともに歩む「未来」に希望を持つように
反対に、芦雪は藤仁に出会う前は「未来」に希望を見出し「今」を足掻いていましたが、出会って以降は藤仁とともに歩んだ「過去」が何にも変えがたい宝物になり、いずれ終わりゆく未来へのよすがにしています

#天涯秘隣
守信=芦雪くんではない
限りなくイコールに近いけど、守信(の魄)はあくまでも芦雪くんの魂に宿ってるだけなので、芦雪くんは芦雪くんだよ
守信は前世の残滓のようなもの
藤仁が唯一愛しているのも芦雪くんだし、守信のことは芦雪くんとは別個体として見ていて、様々な理由から憎んでいる状態

#天涯秘隣
天涯の番外編シリーズ「小咄(こばなし)」の名前には、「本当は(芦雪に)明かすつもりもなかった事実を、咄嗟に口からこぼしてしまったささいな話」という意味があるよ
ゆえに、小咄は基本的に芦雪以外の視点から語られている

#天涯秘隣
采梅(あやめ)は色彩でもそうだったけど、その名は彼がその場で思いついただけの名でありながら彼を彼たらしめるたった一つの名で、自由の象徴
己が本当の名ですら己を示すものでないことに幼い頃から傷ついて生きてきたし、常に誰かの影を重ねられてきた彼にとっては「采梅」は唯一自身を示すもので、「采梅」として出会った人々もものも彼にとって唯一

#天涯秘隣
以前、フォロイが「史実では『狩野探幽』の幼名が『采女』で、天涯での『采女』は画所の……あれ?」と呟いてくださってるのを見かけたような見かけてないような朧気な記憶があるけど、天涯でも『狩野探幽(守信)』の幼名というか初期の雅号は『采女』です
天涯において『狩野探幽』の名は狩野家の中では神の御名扱いされているので、「狩野探幽の“血”が最も色濃く現れた、探幽の再来者」に対してつけられる名が『采女』というだけ
当代の『采女』も過度な期待と現人神としての役を背負わせられて生きており、大変窮屈で抑圧されながらも静かに息をしている

#天涯秘隣
狩野四家について

【前提】
狩野四家とは、狩野宗家+分家三家の総称である。
作中で頻出する「狩野家」は、この狩野四家を総じて指している。
御公儀より奥絵師に任ぜられている狩野家、住吉家、板谷家のうち、分家を持つことが許されているのは狩野家のみ。

【家名の命名規則】
基本的に、「屋敷がある地区の名前+狩野家」で名付けられている。
▼例
 木挽町狩野家(こびきちょうかのうけ)
⇒「木挽町」に屋敷がある「狩野家」

【宗家】
中橋(なかばし)狩野家
……中橋〔現在の京橋〕に屋敷を拝領した狩野派の本家。元々、狩野探幽も中橋狩野家に属し、技量を見込まれたのちに兄弟とともに鍛治橋・木挽町に分家を興した。
▼所属絵師
狩野永徳(えいとく)

【分家】
木挽町(こびきちょう)狩野家
……木挽町〔現在の銀座〕に屋敷を拝領した狩野分家のひとつ。
御用のための絵を描くだけでなく、古画の鑑定、武家の子女や狩野家と縁故ある者たちに開かれた画塾、『画所(えどころ)』を営む。
現在、将軍家からの寵愛が最も厚いことから、分家の家格でありながら、他分家のみならず宗家の絵師をも率いている。
▼所属絵師
采女盛信(うねめもりのぶ)
春宵院綾信(しゅんしょういんあやのぶ)

浜町(はまちょう)狩野家
……浜町〔現在の日本橋〕に屋敷を拝領した狩野分家のひとつ。木挽町狩野家の分家。
木挽町狩野家も分家筋だが、木挽町狩野家に生まれた当家初代が、時の将軍に寵遇されたことがきっかけで、当家を興した。

鍛治橋(かじばし)狩野家
……鍛治橋門外〔現在の八重洲〕に屋敷を拝領した狩野分家のひとつ。かつて、狩野探幽が興した分家とされるものの、現在は分家の中でも衰退の一途をたどっている。
▼所属絵師
探幽斎守信(たんゆうさいもりのぶ)

#天涯秘隣
天涯でやたらと出てくる藤花の香のかおり、表向きは藤仁の象徴だったり芦雪くんが藤仁に触れられるほど近付いたりした時用の描写
実際は、藤仁が自分に染み付いた血の匂いを忘れたい/隠したいがために焚き染めた名残りだよ
#天涯秘隣
藤芦が藤芦になったあとの情事後、藤仁くんは芦雪くんに腕枕されて可愛い可愛いされて頭ごと抱きしめられてつむじにちゅーされてるよかわいいね

#天涯秘隣
幸之介、生まれがお金持ちで両親にも友にも生活にも教養にも恵まれて恵まれすぎたが故に、他者への面倒見が良いし愛を分け与える余裕がある
でも根っこはわがまま、全てが手に入ってきてるので、何かが欠けてると分かるとそれがどうしようもなく欲しくなる
それが彼にとっては「眞魚の関心」だった
擬似的とはいえ、芦雪くんと身体の関係を持つことに快感を覚えてしまったのも、親の教えに背いた背徳感ももちろんあるけど、根っこの根っこ部分には「(本物ではないけど)眞魚の関心が少しでも手に入ったから」というものもある

#天涯秘隣
芦雪くんに江戸で会う前の藤仁くんはとある理由から既に芦雪くんを認知してたし、幕間にあるように松乃に「水仙の君にまた会えたんだ」って思わず笑顔で話してしまうほどには喜んでたよ
写楽としての一時の関わりも藤仁にとっては夢みたいな話で、すぐに解けてしまう儚い関係のはずだったのに、顔を見て少し言葉を交わしてたら欲が出たので囲って無理やり同棲開始しちゃった

#天涯秘隣
藤仁くんは過去、立ち上がれないほどに精神がズタズタになって復讐に縋るしかなかった時期に芦雪くんに出会って救われたので、芦雪くんのことは好きというより「信仰」してたよ
復讐の代わりに新しく縋るものを見つけちゃったんだね、それをひとは依存と呼ぶ良くないね
江戸で同棲し始めて思い出を重ねるうちに「この気持ちは信仰じゃない」って気づいて深みにはまっていってしまった
とてもかわいそうで可愛いね~~~(悪魔)

#天涯秘隣
しょたひととしょたせつ

半泣きで思い出したけど、藤仁くんは幼少期はすごく甘えたで、松乃ちゃんが生まれるまで両親の愛を一身に受けてすくすく育ったので、なんでもない事でもよく泣く子だった
おねしょした時なんかべしょべしょに泣いてたよ可愛い~~

藤仁も芦雪くんも3~4歳まではおねしょしてた
しょたひとくんはおねしょしたらぴえぴえ泣いて綾信に苦笑されながら夜着の洗濯されてたし、しょたせつくんはおねしょした敷布を家の庭に隠そうとして庭木の茂みに頭突っ込んでおしりだけ出てるところを実父に捕えられて優しくたしなめられてたよ

#天涯秘隣
雪が降った時の藤芦

雪が降った時、存外にそわそわしているのは藤仁だったりする
眺めるのも雪遊びも嫌いじゃないし、雪明かりで夜も照らしてしまう真白さに憧れがある
反対に、芦雪は雪も雪遊びも苦手、寒がりなので
雪を肴に酒を飲むのは普通に好きだし、雪遊びをする子どもたちを見るのは好き、見る分には
でもそこに自分は入りたくない、だって寒いじゃん、ていう自論をお持ち
ついでに雪が降る季節の藤芦は既に付き合っているので、雪が降る日には決まって芦雪が藤仁の部屋に行って共寝をねだる、寒いからひっついて寝たい
できれば藤仁の腕の中で藤仁の香りに包まれて藤仁のことで頭をいっぱいにして眠りたいし、それで寒さを忘れようとしている
なので、藤仁はますます雪の日が好きになるし、なんなら毎日雪が降れば良いのにと思いつつ冬は空を見上げることが増える

#天涯秘隣
225の章タイトル、第一章と第七章は天涯を書き始める前から決まっていたもの
天涯はのちに色彩に繋がり、また「何度でも巡る」という円環の理みたいな話なので
各章タイトルは「花の一生」から取っていて、それを藤芦の関係性の変化になぞらえている
#天涯秘隣
天涯の各章通称一覧

序章「尋夢」
第一章「生々」 ⇒ 邂逅編
第二章「八重」 ⇒ 比隣編
第三章「破蕾」 ⇒ 依存編
第四章「爛漫」 ⇒ 比翼編
第五章「花影」 ⇒ 守信過去編
第六章「落花」 ⇒ 御用絵試編
第七章「流転」 ⇒ 藤仁過去編
終章「天涯」

#天涯比隣
205の百夜記念日、単純に藤芦記念日から100日後の話なので、正確な日付はこれ
百夜を越えた藤芦が何をしているかと言えば、秋の長夜にかこつけたセッです

▼百夜記念日(短編「君とみる夢 」)
【旧暦】
9月28日
【新暦】
11月2日
#天涯秘隣
▼藤芦が藤芦になった記念日
【旧暦】
6月20日
【新暦】
7月25日

1年で二度楽しめる藤芦記念日
百夜記念日を含めると4回楽しめちゃう
なんてお得!!!!!
#天涯秘隣
藤仁も要因は違えど、ある意味行動原理は守信に最も近しい
守信は貧困を憎み搾取を憎み公儀を憎んだ結果、御用絵試を創設した
一方、藤仁は生家を憎み御用絵試を憎み公儀を憎んだ結果、復讐を決めた
世で高い位にいる者たちを敵に回すことは世界を敵に回すことと同義で、そうだとしても止まれない理由が守信にも藤仁にもあった
守信くんの自分の欲に素直で自由を求める気質は一貫して変わらないけど、生前は御家の在り方や当主としての責任、周囲を想う気持ちも強く、自身の自由だけでなく一族全員の自由を守るために最期まで戦ったひとだよ
結局、戦った相手も世界も壊せなかったけど
#天涯秘隣
写楽としての藤仁について

「藤仁の口調が写楽になると途端に『実年齢よりも大人っぽく』なるのが好きで、それでいてどうして藤仁としての素を出さず別人として演じているのかが謎で、それがまた彼のミステリアスさを深めている」と今までされたことのない言及の仕方をされたので、ここで小ネタを綴るぜ

本編中でも言及があった通り、写楽は藤仁の父・綾信が家業の片手間に始めた仕事でした。
写楽は藤仁にとって「父の遺志」であり、また「大切な過去の記憶」であるため、写楽に扮している時は敢えて「綾信の面影」を身に降ろしています。つまり、普段の藤仁からはかけ離れているあの写楽独特の言い回しや穏やかな口調は、元は綾信のものであり、藤仁の記憶の中の綾信を再現しているにほかなりません。
そうすることで、己だけが知る父の姿を己だけは生涯忘れず、また父とともになお今を生きているという実感を得たかったのかもしれません。
写楽として芦雪と接している時、時折写楽の口調が崩れているシーンがありますが、あれこそが「藤仁の素」です。芦雪と言葉を交わすという、夢にまで見たささやかな幸せが、これまで縋ってきた過去/心の傷(綾信)を一時でも忘れさせていることを示している重要なシーンでもあります。畳む

#天涯秘隣
藤芦のモチーフ一覧

藤仁
【色】今紫
【花】藤花
【石】アイオライト、ラベンダースピネル
【天体】月
【動物】小禽
【五行】水

芦雪
【色】千歳緑
【花】水仙
【石】ペリドット、ミントガーネット
【天体】太陽
【動物】犬
【五行】木

 #イメージモチーフ
藤仁がおむすびを三角に握った理由
最新話「嫉妬」で出てくるシーンについて私が助かるので書いておく

芦雪が幸之介と江戸散策するためにせっせとおむすびを握っていると、不機嫌そうな藤仁が現れて弁当作りを手伝ってくれるシーン。
手伝った理由としては、もう嫉妬嫉妬嫉妬の嵐がゆえで、「芦雪が作った弁当を芦雪とともに食べる幸之介が気に食わない、俺はないのに」というのと、「藤仁が作った(芦雪が作ってない)ものを食べて少しでも藤仁の存在を意識して藤仁と同じ気持ちなれば良い」というアレ。
ハーーーッ子どもだねぇ藤仁くん!!!!
幸之介の推測通り、芦雪の時は芦雪の気が少しでも紛れるようにと俵型(結局丸になった)のおむすびにしたけど、幸之介にはそんな気遣いしたくもない絶対してやらない郷に入っては郷に従え精神で三角むすびにした。
あまりに子どもで余裕がない藤仁くん、それ見抜かれてるよ幸之介に。
助かるわ~~~俺のいのちが~~~!!!!畳む

#天涯秘隣
いや、天涯の2人は別に一緒に生きたのが2年なわけではないか
共に在れたのが2年なだけ