つゆり映え

- 妖怪が文字を並べてる自室 -
ふと、守信のことを考えた
彼は狩野家の行く末を案じていたし、周囲の者のために戦う強さがあったけれど、それは全て敬愛する祖父から託されたからで、それ以外に理由が見当たらない
人前ではなんでもないように笑って、家の方針で妻を迎えて、妻に愛を向けられても応えることができず、そんな人間らしからぬ自分の本当の感情や意志はどこにあるのだろう、と生前ずっと向き合って苦しんでいたのかもしれない
色々あって、ある種のしがらみから解き放たれたことで、生前とは似ても似つかぬ奔放さが今になって露呈し始めた
四魂だけは、彼の奔放さを知っていてありのままの彼を愛していた畳む

#天涯秘隣